本田宗一郎【ありがとうの握手で流した涙】

2016年11月28日

1991年、本田宗一郎さんは亡くなっています。
 生前、宗一郎さんは、こんなことを言っていたそうです。

「素晴らしい人生を送ることができたのも、
  お客様、お取引先のみなさん、社会のみなさん、従業員のみなさんのおかげである。
  俺が死んだら、世界中の新聞に“ありがとうございました”という感謝の気持ちを掲載してほしい」

実は、宗一郎さんは結構早く、社長を引退しているんです。
 66歳で引退し、いわゆる「会長職」にも就いていません。
 「終身名誉顧問」にはなったんですけれども、仕事からは、一気に離れたそうです。

で、社長を辞めた後、宗一郎さんは何をしたかというとですね、
 日本中にある、ホンダの事業所…
 販売店から工場から…当時、700カ所あったそうですが、
 その700カ所すべてを回って、すべての従業員一人一人と握手して、
 「ありがとう、ありがとう、いつもありがとう!」
 と言い続けていたそうです。

しかも、中には、2~3人しか働いていないような、
 ものすごく田舎の販売店もあったのですが、…そんなところも全部回ったそうです。
 そして、その後、海外事業部も全部回ったそうです。

全部まわって一人一人と握手して…何年もかかったそうです。

周りの人たちは、

「ホンダの創業者が直々に握手しにいけば、社員のモチベーションはあがりますよね。
  仕事をもっと頑張ってくれて、業績も上がりそうですよね。だから握手しに行くんですね」
 って言っていたそうです。

でも、実はそうじゃないんです。宗一郎さんはそんなこと、どうでもいいんです。
 自分がお礼を言いたいからまわっているだけだったんですって。

ある日ね、田舎の販売店をまわった時に、車の整備をしていた人が、
 「宗一郎さんが来た!」って聞いて、喜んで走ってきたんですって。
 握手してもらいに。

で、握手をしてもらおうと思って自分の手を差し出した瞬間に、
 「アッ!」って言って、パッと自分の手を引っ込めたんですって。
 なぜかと言うと、手が油まみれだったんですね。仕事中に急いで走ってきたから、
 「今、洗ってきます!」
 って、手を洗いに行こうとしたら、
 宗一郎さんは
 その社員の背中に向かって、
 「その油まみれの手がいいんだ!」
 って言って、
 その整備士を引き止めて、握手したそうですよ、両手で。

でね、嬉しそうにその手をながめて、
 目を細めて、手の油のにおいをかぐんですって。
 そんなの見てたら感動しますよね。
 泣きますよね。

宗一郎さん、こんなことも言っていたそうです。

「握手すると、みんな泣くんだ。そして、その涙を見て、自分も泣くんだ」って。

すごいですよ、この人。だから、本気ですよ。

この「ありがとう」は。本当に心からみんなに感謝しているんですよ。

「私が一番受けたいココロの授業」より
  
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